は、スネイプの部屋に居た。 大好きな人と、過ごす時。 時間がゆっくりと流れ、とりとめのない会話が紡がれる。 は、幸せだった。 スネイプのことが、とてもとても、愛しかった。 スネイプの、笑顔。 決して明るいとは云えない、悲しみとも痛みともつかぬ翳りを帯びた、その笑顔。 それでも、静かに、ぽつりと、優しく微笑う。 そんな笑顔が、は好きだった。 それが、自分に向けられていることが、この上なく、幸せだった。 ある時、どうしようもなく自分がダメになって、は、もうダメなんです、と、スネイプに訴えた。 拙い言葉で、必死に、訴えた。 「 怖いんです、他人の気持ちは見えないから。私の所為で、どれくらい傷付いてるのか、 分からないから。傷付けられることより、傷付けることが、怖いんです。 」 幼い、悩み。 スネイプはそれを、ずっと聞いていた。 が喋り終わるまで、黙って、ただ、聞いていた。 そして、静かに、言った。 静かに、微笑って、こう言った。 「 ・・・・・優しいのだな、お前は。 」 は、泣きそうだった。 胸が、いっぱいで、苦しかった。 指一本触れていないのに、まるで抱き締められているような、そんな気持ちにさせられた。 優しいのは、先生のほう。 いつも、救われるのは、私のほう。 胸が詰まって、涙が出そうになるのは、 こんなにも、先生が愛しいから ――― ああ、好きな気持ちが大きくなると、悲しくなるのだ、と。 スネイプを好きになって、は知った。 こんなに近くに居られると云うのに。 大好きな笑顔はちゃんと、自分に向けられていると云うのに。 けれど、は、スネイプが、自分を愛してくれていることも、知っている。 スネイプが差し延べてくれる、手。 スネイプがくれる、たくさんの言葉。 それらがいつも、の支えになる。救いになる。 愛されているのだ、と、実感するとき、 愛しい、と、心の底から思うとき、 どうしようもなく幸せなのと同時に、どうしようもなく泣きそうになる。 部屋を流れる、ゆっくりな時間は、に、色んなことを考えさせる。 そんなの心を知ってか知らずか、スネイプは、この小さな恋人の言葉に、耳を傾ける。 やがて、静かになったな、と思って、ふと顔を上げると、はすやすやと眠っていて。 スネイプは、微笑しながら、を抱き上げ、そっとベッドへ運んでやる。 「 全く、手のかかる・・・ 」 そう呟くスネイプの顔が、どんなに穏やかなものであるのかを、 きっとが知ることは、ないのだろう。 【back】 |