■ Prisoner ■


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“ 教師と生徒の恋愛 ”・・・というと、一般には、しばしばタブー視されがちだが、 

元・生徒と結婚する教師は案外多いし、表沙汰にならないだけで、 

在学中から交際しているというケースだって、言われるほど珍しいものではない。 



それは、ここ、ホグワーツ魔法学校でも大して変わらないようで、 

ことに若い新任の男性教諭と監督生の女生徒が恋仲に・・・などということが、少なからず起こっていた。 

もちろん周囲にバレないように、お互い細心の注意を払って付き合う訳だが、 

仮に発覚したとしても、多少は騒がれるにしても学校中を揺るがすような大騒動・・・にはならないだろう。 

こういったことがまかり通るのも、ひとえに全てを黙認してくれる校長の存在が大きいのだが・・・。 



しかしある日、ダンブルドアですら一瞬、自らの目を疑うような事態が起きた。 

「 あのセブルスが、まさか生徒とそのような仲になろうとは・・・・ 」 



セブルス・スネイプ ―― 魔法薬学教授であると同時に、スリザリン寮の寮監を務める。 

グリフィンドールをはじめとする‘自寮以外’の生徒には殊更厳しく、時には不当な減点すら平気で行う。 

生真面目で、偏屈で、いつでも眉間に皺を寄せているスネイプを、教師として尊敬するのならまだしも、 

恋愛感情を抱く、しかもグリフィンドール寮の生徒が居るなどと・・・。 

それだけでも十分驚くに足るというのに、更に彼が、生徒であるその少女の恋心に 

真剣に応えているというのだから、流石のダンブルドアも少々あっけに取られてしまった。 

学生時代からスネイプを知っている分、余計に、である。 

しかしすぐに気を取り直し、まぁそれも悪いことではないだろう・・・と、黙って見守ることにした。 

良く言えば寛容、悪く言えば呑気な校長である。 



しかし、当然ながら、当人以外でその関係を知る者はダンブルドアだけだった。 

注意深いスネイプの性質のせいもあるのだろうが、“ あの ”スネイプが“ 生徒と付き合っている ” 

などという発想が、そもそも生徒達の頭にあるはずがない。 

仮に、事実を知ってしまった者が居たとして、その者がそれを友人等に報告したとしても、 

十中八九、信じては貰えないだろう。 

「 そんな飯の不味くなるような冗談はやめてくれ 」等と睨まれるのがオチだ。 

そのくらい、スネイプは生徒達から少なくとも慕われてはいなかったし、 

普段の彼らの会話に“ 悪口 ”以外で登場することなど、ほぼ無いに等しかった。 



しかし、一部の恋に恋する年頃の女子達の会話に、しばしばこのような形で持ち出されることはあった。 


  「 ね、スネイプとかってさぁ、恋愛したりすんのかなぁ?! 」 

  「 えー!ちょっとやめてよー!!想像できない・・・つーかしたくないんだけど! 」 

  「 でもさぁ、普通に奥さんとか居るんじゃん?だってもう30過ぎてるよね、あの人。 」 

  「 うわ、有り得ない! 」 

  「 え、じゃあやっぱ愛の言葉囁いたりとかすんの? 」 

  「 うっわ絶対無理!有り得ないって!! 」 

  「 わーなんか逆に気になるし!! 」 

  「 本人に聞いてみるとか。 」 

  「 あぁ、罰ゲームでね・・・殺されそうじゃん、マジで。 」 

  「 毒殺? 」 

  「 あー・・・・ 」 

  「 ていうかさ、マジな話、 」 

  「 うん、 」 


  「「「 スネイプって、マトモに恋愛出来るの??? 」」」 



一言言わせてもらえば、余計なお世話である。 

しかし、いいところを突いているというのも確かだ。 

スネイプと生徒との恋。それは決して順風満帆なものではなかった。 

戸惑いながら、傷付け合いながら・・・・何度も終わりの危機に襲われながら・・・。 



そうして、今日もまた ――― 



「 先生〜、私の話、聞いてます? 」 


グリフィンドール寮・7年生、。 

彼女こそが、生徒でありながらスネイプの恋人であるという、

端から見ると奇特としか言いようのない、その人物である。 


今は放課後で、はスネイプの研究室に訪れていた。“質問”という名目で、恋人に会う為に。 

しかしスネイプは、が来ているというのにも関わらず、何か書き物をする手を止めようとしない。 

「 お仕事中だったら、またにしますけど・・・ 」とが言ったのに対し、 

「 いや・・・構わん 」とスネイプが答えたから、はこうしてここに居るというのに。 

仕事の片手間にでも話し相手になってくれるのかと思えば、全く期待はずれもいいところで、 

が何を言っても、スネイプの返事は「 ああ・・・ 」とか「 そうか 」とかで、 

終いにはそれすらなくなり、完全に放置状態となっていた。 


「 先生、実は私のことなんて興味ないんでしょう? 」 

スネイプのその態度に流石にキレ始め、少し怒り気味にが言う。 

「 明日、私が居なくなっても気付かないんじゃないですか? 」 

「 ・・・・・・・・・・・ 」 

しかし依然、スネイプは仕事に没頭したままで、聞いているのかいないのか・・・。 

おそらく聞いていないのだろう。 

「 もー、こんなんじゃ浮気されたって文句言えないんですからねっ! 」 

そんなことは言うまでもなく、仮に彼女が浮気したとしてもスネイプは文句など言わないだろう。 

「 そうか・・・ 」の一言で片付いてしまうのだろう。 

・・・・・・と、は思っていたのだが、意外にも、その言葉にスネイプは手を止め、顔を上げた。 

「・・・・浮気・・・?」 

の言葉にスネイプがまともに返答するのは何分振りだろうか。 

聞き流すと思っていたのに、意外な反応で紗弥子は少し驚いたが、しかしまだ怒りは収まっていない。 

「 そうですよ!私がもし先生以外の男の人とキスしたら怒りますか?怒らないでしょう? 」 

しかし、のその言葉に返って来たスネイプの返事はまたしても意外なもので。 

「 ・・・・我輩以外の男と・・・キスをしたのか? 」 

例え話だというのに・・・やはり話の内容を把握していないようだ。 


「 もしそうだとしたら、どうします? 」 

腹立ち紛れに、はスネイプを睨んでそう言った。 

すると突然、スネイプは立ち上がり、黙ってゆっくりとの方へ歩みを進める。 

が思わず怯みそうになるほど、妙な迫力を醸し出して・・・。 


そしてソファに座っているの目の前で足を止めると、しゃがんで彼女と視線を合わせ、口を開く。 

「 安心しろ・・・・。そのような男は、我輩がこの手で殺してやる。 」 

あまりの言葉に、はあっけにとられてしまった。しかしスネイプは更に続ける。 

「 痛みなど感じぬよう、一瞬で・・・・・あの世へ送ってやる。・・・せめてもの情けだ。 」 

そう、言うが早いか、スネイプはをソファに押し倒し激しくキスをした。 

「 ・・・ん・・・っ!! 」 

不意打ちを食らって、の喉から高い声が漏れる。 

吸い付き、舌を絡め、スネイプは猛獣のような口付けでの咥内を犯してゆく。 

深く、深く、何度も繰り返し・・・・。 

は段々と意識が朦朧としてきて、思わずスネイプのローブを握り締める。 



ようやくスネイプが唇を離した時、の頬は紅潮し、その瞳は潤んで虚ろなものとなっていた。 

スネイプは満足そうに目を細め、口の端を上げて笑みを浮かべると、の耳元で低く囁いた。 

「 覚えておけ・・・・我輩以外の男とこのようなマネ、絶対に許さぬ。お前は、我輩だけの物だ。 」 




セブルス・スネイプはマトモに恋愛が出来るのか? ――― 答えは、No。 

他人を愛するなどということとは無縁の人生を送ってきた彼が、 

ひとたび心を傾ける事の出来る相手を見つけた時、その愛はかくも、歪んだものとなっていた。 

もう、逃げられない。そんな事に、今頃気付かされた。 

この先にあるものは、“ 幸せ ”か、それとも ――――







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