■ Sweet Moonlight ■


----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------



ある真夜中 ――― 微かに頬を撫でる夜風に、はふと、目を覚ました。

すると、隣で眠っているはずの恋人、ルシウスの姿がない。

慌てて顔を上げ、部屋を見回すと、


窓辺に腰掛けて、外を眺めている、彼の姿。



「 ・・・どうしたの?寝れないの? 」



ホっと安堵の表情を浮かべ、はベッドを抜け出し、彼の元へ。




月の光の明るい夜で、

ルシウスの湛える美しいプラチナブロンドは、その蒼い光に溶かされる。



シルクのパジャマから透ける、彼の裸のシルエット。

あまりに綺麗で、思わず、心奪われる。



振り向いて微笑む彼に、は駆け寄り、きゅっと抱きついた。



「 降って来そうね、星。 」



夜空を彩るたくさんの光。

今夜は特に美しくて、は彼の顔を見上げて嬉しそうに言う。


するとルシウスは、いとおしそうにの髪を撫でる。



「 可愛いことを、言うものだな・・・ 」





月と星とが、二人を照らす。

心地よい涼風と、人々が寝静まった後の、闇の音。



「 このような夜に眠ってしまうなど、惜しいとは思わないか? 」





突然、ルシウスは窓からふわりと飛び降りる。

慌てても、後を追う。



落ちるのかと思ったら、二人の体は浮いていて。



周りを見渡すと、さっき窓から見ていた星たち。



訳が分からず、はルシウスの腕を取ろうとする。

しかしルシウスは、身を翻してそれを避ける。



愉しそうに、逃げるルシウス。

捕まえようと、必死で追いかける




二人は、星の海を泳ぐ。




ようやく彼は振り向いて、の手を引き、抱き寄せる。

そうして二人、舞い降りたのは、白く輝く、三日月の上。

優しい光が二人を包む。




次々と、目の前を通り過ぎる、流れ星。

これは夢の中だと、はやっと理解する。




「 目を覚ますのが、もったいないわ。 」



嬉しそうに、が言う。

もう離れたりしないように、しっかりとルシウスを抱き締めて。



ルシウスは、黙って微笑む。

しかしゆっくりと、の腕をほどこうとする。

不安な顔をして、決して離そうとしないに、ルシウスは優しく囁く。




「 このままでは、キスが出来ない。 」




は真っ赤な顔で、そろりそろりと腕をほどく。

そうして、何も言えずに、上目遣いで彼を見る。

そんなの様子を、ルシウスは心からいとおしく感じる。




三日月の上でするキスは、いつもよりずっと、甘いキス。



星たちが、キラキラと二人を取り囲む。



朝が来れば、全てが消えて、夢だと分かる。

だから今だけは、この幸せ過ぎる優しい光に、めいっぱい包まれて・・・・






夜が明けて、が目を覚ますと、ルシウスはまだ眠ったまま。

はその唇にそっと口付けを落とす。



――― と、



銀色に輝く彼の長い髪。

その中に、蒼く輝く小さな星屑を、は見つけた。




あれは夢・・・・・?



それとも ・・・・・・・

(2003…?)






【back】