■ Love Scar ■


----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


クリスマスが近づいた、ある朝のこと。
目が覚めると、窓の外は一面の雪景色だった。


寒い寒い12月の終わり。




――あの人は、今でも一人で、あの部屋で、朝を迎えているのだろうか――




この季節になるといつも、思い出すのは3年前のクリスマス。


ホグワーツで過ごした、最後のクリスマス。


いつもの通り、先生の部屋で。
いつもの通り、先生の淹れてくれた紅茶を飲みながら。


ただ、いつもと違ったのは、
わたしがそこに居たのは、その日が最後だったということ。




「先生、もう、終わりにしよう・・・?」


「・・・・お前がそうしたいのなら、好きにしたらいい。」


「・・・・・止めないの・・・?」


「お前がそう決めたことを、止める権利は、我輩には、ない。」


「・・・・・じゃあ、もう、来ないから。」


「・・・・そうか。」





不安だった。
先生がわたしを愛してくれてるのかどうか。


――わたしが手を離したら、きっと終わる――


そして、その通りになった。
それから卒業まで、授業以外で言葉を交わすことはなかった。


今なら、解る。
先生がわたしを想ってくれていたこと。
だけどあの時は解らなかった。


あの時、わたしは生徒で、先生は教師で。
「終わりにしたい」と言ったわたしを、抱きしめて、引き留めるには先生は大人すぎて、 
そんな先生の気持ちを理解するには、わたしは子どもすぎた。


今なら、解るのに。
愛してくれていたかどうかなんて、
あの時の、先生のかおを見れば、すぐに解ったはずなのに。








******








確か、あの日も雪が降っていた。
雪の積もった、寒い、クリスマスだった。




――彼女は今、どんな朝を、迎えているのだろうか――




3年前、離れていった一人の生徒。
そう・・・・“生徒”だった。


側に居る間も、心のどこかで予想はしていた。
いつか離れていくのではないか、と。


それは彼女を信じていなかった訳ではなく、
ただ、逃げていたのだ。
予想していれば、傷も浅くて済むと。


そして、その時はやってきた。




「・・・・好きにしたらいい」




なんという、残酷なことを言ったのだろう。
残酷で、心にもないことを。


今なら、解る。
彼女が望んでいたのは、
そのような言葉ではなかったと。


いや、あの時も解っていた。
彼女がどのような思いで「終わりにしたい」と言ったのかも、
どのような答えを望んでいたのかも。


ただ、恐かったのだ。
抱きしめてしまったら、二度と離せなくなる。
もし本当に終わりが来た時、耐えられなくなる。


ならばいっそ、
今、この時、離れてしまった方がいい・・・・・。


何という、身勝手であろう。
その身勝手で、どれ程、彼女を傷付けたことであろう。
あの時の、彼女の顔が、今でも心から離れることは、ない。









      もしも今、もう一度会えたとしたら、
    
                  
      そうして、もしもまだ、お互いの気持ちが変わっていなかったとしたら、 
    

      今度はもっと、上手に愛することができるだろうか。


      傷付けることなく、愛することが、できるだろうか













【back】