壊蝕・浸蝕(キャビテーション・エロージョン)と電蝕・腐蝕(コロージョン)

 上記二点の問題は、船長の操船ミス等の人為的過失によって起こるものではなく
 想定外 な出来事で、上架して「ビックリ!」だと思います。

 

 巷では、浸食のことを「キャビった」とし、電蝕はそのまま電蝕と表現しています。
 ただ、船主さんの中には浸食と電蝕の区別がつかなくて、浸食を「電蝕を起しているので
 亜鉛盤を増やそう」とよく言われるので「これは浸食なので、亜鉛盤を増やしても止まり
 ませんよ」と説明する事が多くあります。
 

 浸食の場合、その箇所の溶接補修は温度管理をしっかりやっていれば比較的容易に出来ま
 すが(浸食の発生した箇所にもよる)電蝕の場合は、プロペラの素材そのものが劣化して
 硬度・強度ともに低下していますので、電蝕の度合いにより修理は困難になります。
 一番ヤッカイなのは電蝕と浸食が同時に進行している場合で見るに無残な状態です!
 
 電蝕の場合、プロペラ素材がALBC3(CAC703)は、全体が真っ黒になります。
 また、HBSC1(CAC301)はピンク色の斑点ができ、そこが容易に欠けていきます。
 プロペラにカキ防止ペイントをしている場合は、上架時にペイントを剥離して
 こまめに点検する必要があります。
 

 電蝕はアースの取り方、亜鉛盤の適所取り付けで改善されますが、浸食は・・・
 浸食の原因であるキャビテーションを防ぐ事は不可能とされています。
 各プロペラメーカーさんも翼断面形状を研究し、いろいろなタイプのプロペラを
 発売していますがなかなか難しいようです。
 

 浸食は、ずっと進行していく場合と、ある程度の状態になると進行が止まる場合があるように思われます。
 何れにせよ、あまり進行しないうちに補修される方が溶接補修によるプロペラに与える
 ダメージが少なくなりますので早期補修をお勧めします。